プロジェクト概要

プロジェクトについて

人工知能、自動化、先進航空モビリティ、ドローン、そして低空経済が、インド太平洋地域の航空ガバナンスにどのような変化をもたらしているか。

「インド太平洋における民間航空のガバナンス」プロジェクトは、世界で最もダイナミックかつ戦略的に重要な地域の一つにおいて、新興技術が航空ガバナンスにどのような変化をもたらしているかを明らかにします。本プロジェクトは日本学術振興会(JSPS)科研費(25K04983)の助成を受け、人工知能、自動化、先進航空モビリティ(AAM)、無人航空機システム(UAS)、および新たに台頭する低空経済がもたらすガバナンス上の影響を研究します。

国際関係、技術ガバナンス、輸送安全保障、航空政策といった分野にまたがる学際的研究を通じて、本プロジェクトは、政府、規制当局、産業界の関係者、そして国際機関が、民間航空における急速な技術変化にどのように対応しているかを明らかにすることを目指します。

先進航空モビリティシステム、自律航空機、ドローン、AIを活用した航空技術が実験段階から実用段階へと移行するなか、インド太平洋地域の各国政府は新たな規制枠組み、投資戦略、ガバナンスモデルを整備しつつあります。しかし、こうした取り組みは依然として極めて不均一であり、認証、安全監督、インフラ計画に対する各国のアプローチには大きな差異が生じています。本プロジェクトは、技術革新が航空ガバナンスや安全保障、さらには地域的・グローバルなガバナンスをめぐるより広範な問題とどのように交差するかを分析することで、これらの動向を明らかにすることを目指します。

AAMガバナンス追跡ツールおよびデータベース

本プロジェクトの中核をなすのは、インド太平洋地域、特に東アジア、東南アジア、南アジアにおける先進航空モビリティおよび低空経済のエコシステムの発展状況を可視化するとともに、継続的に追跡するために開発されたオープンアクセス型のマッピングプロジェクトです。本追跡ツールでは、各国・地域の規制枠組み、政府戦略、投資動向、認証に向けた取り組み、インフラ整備、実証プロジェクト、国際的なパートナーシップに関する情報を収集・分析しています。また、航空分野におけるイノベーションの将来を形づくる主要な業界関係者についても、航空機メーカー、テクノロジー企業、通信事業者、海外投資家などの動向を継続的に把握しています。

本プロジェクトでは、比較政策分析、規制マッピング、ステークホルダーとの連携、オープンアクセス型データベースを組み合わせることにより、エビデンスに基づく研究と政策立案を支援します。特に、各国政府が次世代航空技術への投資を拡大するとともに、新たな規制・ガバナンス枠組みの整備を進めているインド太平洋地域の動向に重点を置いています。

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研究目的

主要な研究課題

研究テーマ

01

東南アジアにおける民間航空ガバナンス

東南アジアは、世界でも有数の航空成長地域として台頭している。一方で、規制能力、法制度、技術的発展はASEAN加盟国間で大きく異なる。本研究では、民間航空当局、政府、地域機関が、新興技術、変化する安全・保安要件、新たな空域利用の形態に対応するため、ガバナンス枠組みをどのように適応させているのかを分析する。特に、規制の調和、認証枠組み、制度的能力、航空分野における次世代ガバナンスを形づくる地域協力の役割に焦点を当てる。

02

先進航空モビリティと低空経済

先進航空モビリティ(AAM)と台頭する低空経済は、航空規制とインフラ整備のあり方に変化をもたらしている。本研究では、eVTOL機、ドローン物流ネットワーク、都市・地域エアモビリティシステム、およびそれらを支えるインフラのインド太平洋地域における発展を分析する。本プロジェクトのAAMガバナンス追跡ツールを通じて、研究者は規制の進展、認証経路、投資動向、実証プロジェクト、官民連携を追跡し、各国政府が次世代航空エコシステムの発展をどのように促進または制約しているのかを明らかにする。

03

人工知能と航空ガバナンス

人工知能は、航空運航、航空交通管理、整備システム、予測分析、自律飛行技術において重要な役割を果たしている。本研究では、安全保障、認証、説明責任、透明性、人と機械の相互作用、規制監督など、AI活用型航空システムに伴うガバナンス上の課題を分析する。本研究では、各国の規制当局や国際機関が、民間航空におけるAIの役割の拡大に対応するため、既存のガバナンスがどのように適応されているか考察する。

04

航空保安と戦略的競争

新興航空技術は、国家安全保障、技術競争、戦略的自律性といったより広範な課題とますます交差している。本研究では、無人航空機システム、デュアルユース技術、サイバーセキュリティ上の脆弱性、重要インフラの保護、航空イノベーションにおける外国投資など、安全保障上の課題を分析する。特に、地政学的競争が激化するインド太平洋地域における先進航空技術の開発、規制、配備にどのような影響を与えるのかに焦点を当てる。

05

国際協力とグローバル航空ガバナンス

新興航空技術の急速な発展は、国際標準、規制の調和、コンプライアンスに関する重要な課題を提起している。本研究では、国際民間航空機関(ICAO)、地域機関、国境を越えた産業ネットワークなどが、技術変化に対するガバナンス上の対応を形づくる上で果たす役割を考察する。本研究では、各国の航空システムの安全保障、相互運用性を維持しつつ、国際協力がイノベーションをどのように支援できるのかを探究する。

クレジット

研究チーム

Christopher K. Lamont

Christopher K. Lamont

研究代表者

東京国際大学国際戦略先端技術研究所教授(国際関係論)。グローバル・ガバナンス研究所(白)AIガバナンス研究部長を兼任。グラスゴー大学(英)にて政治学博士号取得、エディンバラ大学(英)国際・欧州政治学修士課程修了、ミシシッピ大学国際学部(米)卒業。専門は新興技術、人工知能、自律システム、民間航空ガバナンス。現在、民間航空ガバナンスを分析する日本学術振興会(JSPS)科研費プロジェクト(25K04983)の研究代表者を務める。主な著書・論文に、「Research Methods in International Relations」、「Research Methods in Politics and International Relations」、「Conflict in the Skies: The Law of Air Defense Identification Zones」など。

Ryo Hinata-Yamaguchi

Ryo Hinata-Yamaguchi

研究分担者

東京国際大学国際戦略研究所准教授。アトランティックカウンシル上席研究フェロー(米)、パシフィックフォーラム上席研究フェロー(米)などを兼任。専門は防衛政策・戦略・計画、安全保障、国際政治、交通政策。オーストラリア国立大学アジア研究学部卒、同大大学院戦略防衛研究科修士課程修了(豪)、ニューサウスウェールズ大学大学院キャンベラ校人文社会研究科博士号取得(豪)。パシフィックフォーラム研究フェロー(米)、ムハマディヤ大学マラン校客員講師(尼)、釜山大学校経済通商大学国際学部客員教授(韓)、東京大学先端科学技術研究センター特任助教などを経て現職。

Abbey Dang

Abbey Dang

研究助手

東京国際大学国際戦略先端技術研究所修士課程在学中。同大学ティーチングアシスタント。関心分野は技術と社会の交差領域、デジタルインティマシーテクノロジー(DITs)、ジェンダー規範、ガバナンスおよび人権。修士論文では、DITsが日本におけるジェンダー規範に及ぼす影響と、ガバナンスと人権上の課題を分析している。トロイ大学経営学部(米)卒業。